池乃めだか
●大庭三吉という人は、悪人であって悪人でないような。
「このコップが200円としたら、この値段は誰が決めるんや」、
「いや、200円だから200円や」、
「いや、だからそれは誰が決めるんや」、
「これは200円払う人がおるから200円という値段が決まるんや」、と。
それが幽霊であってもそれに対して金を出すもんがあったらそれはその値段やし、俺は何にも悪いことしてないやないか、という自分的には合理的に物事を運んでいる。
その辺が、一応筋の通った、屁理屈のような屁理屈でないような。
そんな大庭さんに対して、欲得で街じゅうの人たちが巻き込まれて、だんだん話が膨らんでくるというところがおもしろいんちゃうかな、と思いますが。
さあ、僕がそれをちゃんと表現できるかどうかを考えると、夜も眠れない(笑)。
●鴻上さんは忘れてしまったかもしれないですけど、かなり前に雑誌で鴻上さんが僕のことをほめてくれた文章がありましてね。
それはうれしかったんですけど、このままお互い会わずに終わるのかなと思ったりもしましたが。だから今回はもう、イチもニもなく飛びつきました(笑)。
今までかつてこれだけ不安を抱いたことはない、というのが正直な心境です。

鴻上尚史
●京都で浪人していた頃、大阪のサンケイホールでやっていた安部公房さんの『時の崖』っていう映画の上映会に行ったことがありまして。
会場にご本人が現れて、『これには深い意味があると思って、みなさんお笑いにならないんですけど、笑ってもらっていいんですよ』って、・・先生が言ってました(笑)。
●もちろんこの作品は、ある面からするととても痛々しい悲劇なんですけど、でもそれはちゃんとおかしいっていうか。人生の真実が見えてきて、それに打ちのめされるんではなくて、それを元気に笑いとばすっていうか。そこは演出の要点ですが、この作品が安部公房が人間の存在とは何かというのを形にして出した、っていうことだけで終わるんじゃなくて、形にして出したものはちゃんとエンターテイメントになってるし、深みがあって、そのまま今に通じるんだっていうところに持っていければいいなと思います。

木野花
●株とかブランドとか実体のないものに、人がとびついて値段が上がってゆく仕組みって、「幽霊に金出してるよ」っていうのと同じで。それを「だからダメなんだ」って言うんじゃなくて、そういうものに踊らされる人間を肯定も否定もせずに「これが人間」って放り出してる。人間のおろかさを面白がってる作家の懐の深さを感じる。登場人物はみんなおろかで、たくましくて、人間くさい。今も昔も変わらない人間像がすごく生き生きと描かれてて、「とにかくめげずに生きていかなくちゃ」というバイタリティにあふれているんですね。





大庭三吉×深川啓介


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轟天 vs カニバサミ


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市民たち、市長たち(MUSIC! MUSIC!)


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