大高洋夫
OHTAKA Hiroo
新潟県出身、AB型、蟹座

今回の役者紹介の順番を名前の最初の画数で決めようと主張する。少ない方が一番だというのである。しかし、あまりに不自然であるということで没になる。

第三舞台で一番デリカシーのある役者。マージャンがしたくてたまらなかった鴻上に無理やりさそわれ、メンバー集めのため東京中の友達のアパートにおしかけたが誰もみつからない。失意のどん底にある鴻上と二人で喫茶店に入り、あまりに鴻上がおちこんでいるため、思わず元気づけてやろうとして、「劇団つくんないか」と言ってしまう。

その一言をひそかに待っていた鴻上はとびついたが、ほんの軽い気持ちで言ってしまった大高は「しまった」とつぶやくが祭りのあと。故郷の大高商店という食料品店を経営しているかあちゃんに「ごめんよ」といいながら、それから一週間、メンバー集めに徹夜でつきあう。

マージャンの時とはちがって、こっちは5人も集まり2位抜けでうつことに決める。という第三舞台創立のエピソードは、彼のデリカシーを雄弁にもの語る。

しかし、彼のデリカシーには容量があり、デッドラインを越えると、涙を流しながら狂ったように暴れだす。演出家はそれを、ひん死のナウマンゾウと呼びとても大切にしている。とくに、ナウマン象によってくるひっつき虫を大切にしており、練習が終わると、「帰ろみゃー」と言って、ゾロゾロとひきつれて帰っていく。

食い道楽であり、新潟出身らしく、海産物には目がない。ブリのテリ焼だの、ハマチのサシミだのと味をこと細かに演出にしゃべるが、演出の「一回はウニをどんぶり一杯食ってみたい」という発言のあまりのデリカシーのなさにあきれかえって、以降、演出家と食い物の話をしなくなる。

舞台では、デリカシーのうらがえしの、「俺よりめだつな!!」というつきぬけるような演技をする。

 (鴻上尚史 1983年弓立社刊 戯曲「朝日のような夕日をつれて」)



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