小須田康人
KOSUDA Yasuto
東京都出身、O型、射手座
今回の役者紹介の順番を、名前の漢字の画数の多い方からはじめようと主張した知性派。
不自然だという声に、4文字は死につながり、5文字は、御縁があるから少しも不自然ではないと主張、知性派の面目をほどこした。しかし、御縁のエンはどっからでてくるんだ、の声に、理論的厳密さが今一歩たらなかったと自己批判して三番手となる。
第三舞台、一番の知性派。今でも酔っぱらうたびに「あっしは小学校の時校長先生に呼ばれて、君は小学校開校以来の天才だと言われたんスよ」といいだす。その目には、うっすらと三丁目の夕日のような懐かしい涙がひかり、どこで自分の人生まちがったんだろうという激しい自己批判の匂いが漂う。
知性派の例にもれず、はやく死にたがっており、デカダンを気取って、酒をのみつづけて慢性肝炎になる。現在、体をいたわりながら芝居の練習をし、下宿に帰っては演出にかくれて、こっそりコップ酒を飲む生活。「酒をやめろ!」という演出の声に「酒やめるくらいならアッシは死にますよ」と言って太宰を通りこし、ジミ・ヘンドリックスを夢見る。しかし、コンパのたびに、長唄をうたう。
知性派の例にもれず、人一倍女性にはきびしく、劇団に新人の女の子が入ってきたりすると、「あっしはね、ライオンのように女性をガケからつきおとしはいあがってくるのを見るのが楽しみなんスよ」と言って、演出をあわてさせる。だが、それは、女性美化の裏がえしだということを本人は知るよしもない。
舞台では、知性であるがゆえの、クールでロマンティックな演技をみせる。
(鴻上尚史
1983年弓立社刊 戯曲「朝日のような夕日をつれて」)
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